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Photo by Mr Y.Itoh & K.Hosoda
Article by K.Hosoda


98年 スーパー耐久 最終戦 富士スピードウエイ

とうとう最終戦を迎えた98年S耐。昨年は終盤までトップを走行するも、アスティに逆転されて無念の2位。結果としてシビックの50連勝を止める形となってしまったが、今年はその汚名を晴らすため、そして来年につなげるための重要なレースだ。今年は練習から好調で、マシンの仕上がりは良い。予選は4番手ながらもチャンピオン争いを尻目に前車を次々とパス。終盤トラブルに襲われるが後続とのマージンもたっぷりで1年半振りの優勝を飾った。


11月5〜6日

「練習走行」

 

  富士のレースウイークは通常金曜日からが多いが、今年は珍しく木曜日にスポーツ走行があるとのことで、当日朝移動というスケジュールでサーキットに到着。 午前、午後とも1時間20分という時間だが、午前中は山内が仕事で来れず、浅見が黙々とメニューをこなす。それにしてもFT(フォーミュラトヨタ)マシンが多く、気を使いながらの走行にも係わらず早々と48秒台に入る。午後には山内も到着して練習に加わる。そして金曜日の専有走行でさらにセットをつめ、47秒中盤までいったところでフィニッシュ。走り初めから順調すぎて先がちょっとコワイ感じだ。実を言うと1週間前の金曜日にも走って手応えは確認済みだったのだ。我々のこのレースに掛ける意気込みがお分かりだろうか。


11月7日

「公式予選」

 そして予選日の朝のフリー走行では5番手をマーク。タイムを見ると5ZIGENシビックがダントツに速い! こういうのがコワイ。

 さあ、いよいよ予選の開始だ。今回は参加台数が決勝出走台数をオーバーしたため各クラス按分比例により台数が割り振られた。クラス4は18台中16台なので、当たり前だが「1周目コースアウト」だけはしないように一応確認の意味でドライバーに伝える。今回は練習から好タイムをマークした浅見が1回目を受け持つことになる。スタートを待つ列に入る浅見はコックピットで精神を集中しているところだろうか。

 
 
 考えてみればなんか久々のドライ路面でのレース進行のような気がする。でも天気予報は下り坂だ。そこで浅見は雨が降り出さないうちにアタックに入り、とりあえず47秒台をマークしてポジションを確保。その後F SPORTSチームの玉ちゃんとスリップ作戦を展開し、見事1分46秒753をマーク。他もタイムアップしたため順位は4番手だ。
  2回目の予選は山内の出番となるが、基準タイムのマークとセットアップ変更の確認に徹し、ウエットタイヤでの走行をメインに行う。一応スリックでもアタックするがタイムアップはならず、クラス4番手総合25番手からのスタートが決定した。 ちなみに雨は降りそうで降らなかった。


11月8日

「決勝レース」

 決勝日の上空はピーカンで青空が覗く。フリー走行ではクラス3番手のタイムをマークした。よしよし

 

  そしていよいよ決勝だ。恒例となったピットウオークが行なわれ、その後コースインが始まる。天気が天気のため交換タイヤはナシ。スタートは「オレが行く」と山内。一応作戦的には浅見が目一杯乗る予定なので、山内は1時間40分前後でピットインという作戦を立て、レース展開により前後させることとなった。ヘルメットを被りすでに臨戦態勢モードに入っているアンクル・山内。 ちなみにグリッドは上位に最後尾スタートがあったため繰り上がって24番目となった。

 

  僚友のF SPORTSチームはクラス2番手という絶好のポジションからのスタートだ。今回も玉ちゃんがスタートを受け持ち、目一杯行くようだ。またまた、二人のバトルが見られるのか?

 

 そして12時43分にレースはスタート。今回もスタートラインまで追い越し禁止で(前回のもてぎでの報告は、スタートがふたたび修正されていたのを忘れていました)山内は無難にレースをスタート。1台抜いて1台抜かれたからポジションはそのままだ。しばらくはドライダーシビックを追ってレースを進めるが、徐々に差は縮まり、10周目に3番手に浮上した。「いつもとは違う」誰もがそう思っていた。さらに15周目には5ZIGENパルサーをパスして2番手に浮上する。そして19周目にはファルケンパルサーもブチ抜いてとうとうトップに躍り出た。
 こうなると久しぶりに速いクルマ達とレースをしている気分になれるので、やり甲斐が出てくるというものだ。山内は快調にレースを運び49秒台、ときには48秒台に入れてレースをリードする。40周目には5ZIGENを10秒ほど引き離すがここからまた差を縮められ55周過ぎには4秒差となる。トップ争を展開中の場合、ピットインは後がいいが、我々はそういうわけにもいかず予定通り62周目にピットインし、給油とフロントタイヤ交換をして浅見がレースに復帰する。この時点で同一周回の5番手にドロップした。

 

 そして全車ピットインを終えた時点でのポジションはふたたびトップ。しかし5ZIGENも6秒後方にいるが差は縮まる方向だ。じりじりと追いつめられる浅見は75周目にはこれに抜かれて2番手にドロップ。しかし、タイムの安定してきた浅見は48秒台を連発して5ZIGENとの差をキープする。そして88周目にはセーフティーカーが入り、体勢を立て直す。クルマの調子を聞くと「ウンウン」と頷いている。そしてグリーンランプ点灯後に浅見は猛然とアタックを開始し、5ZIGENを抜いてふたたびトップで戻ってくる。
 110周あたりまでは48秒台で逃げの体勢に入り、後続とのマージンを築く。しかし、その後浅見からウインカーのサインが出る。トラブルを抱え、他の後続との差を知りたいみたいだ。5ZIGENもドライダーもトラブルを抱えてるみたいでその後との差は2分近くある。ってことで115周目に緊急のピットイン。エンジンオイルを補給してすぐさまピットアウト。トップをキープしたままレースに戻り、その後は後続とのマージンを見ながら走行し、昨年のハイランド以来の優勝をマークした。シリーズランクもなんとか6番手となった。
 
 

 このサインボードはいつ出しても気持ちのいいモノですな。この瞬間を楽しみたくてレースをしているようなものです。そしてパレードラップの間に表彰台撮影のため場所を移動する。その途中戦いを終えてピットに戻る浅見をパチリ。「今回は良くて3位かと思った」と言っていたが、後で聞いたら「何言ってるんですか。それは予選の話ですよ。予選で悪くても3番手、決勝は1位って言ったでしょうが」だって。ひぇ〜お見それしやしたぁ〜。

  
 表彰台の中央でシャンパンを振りまく山内/浅見の両名。昨年は左側でシビック50連勝を止めてしまったくやしさを感じていた。そしてピットに戻った二人とスタッフ全員で記念撮影だ。来年は真ん中の「1108」を抜いてみたいものですなぁ。

 僚友F SPORTSチームも念願かなって2位の表彰台を獲得した。古橋さんも玉ちゃんも本当に嬉しそうだ。そしてこちらがF SPORTSのスタッフ。玉ちゃんを除いてみな同じ職場の人達だ。いつもご苦労様です。


98スーパー耐久シリーズ最終戦 INTER TEC
98年11月7〜8日 富士スピードウエイ(4.470q)
天候:晴れ 参加台数:52台 決勝出走台数:45台
参加クラス:クラス4
ゼッケン/車名:54/BPビスコベータアンクルシビック
ドライバー:山内伸弥/浅見 武
予選結果:クラス4位 総合25位 タイム:1分46秒753
決勝結果:クラス優勝 総合8位 127周回
完走台数:30台
獲得ポイント=20点 シリーズ合計=45点 第6位


「トピックス」

   <アクロバット飛行>
   

  JTCC最終戦が終わってSSCC記念セレモニーでのワンシーン。どこからともなくやってきた小型飛行機がいきなり背面飛行や急上昇、急降下などのアクロバット飛行を披露。 決勝レース準備中に思わず見とれてしまったが、ふと思ったのが「もし落ちたらレースはどうなるの」。観客をハラハラドキドキさせるのがアクロバット飛行なんだろうけど、こっちは「そんな低空飛ぶな」とか「早く上昇しろ」などと無事に済むことを祈っていました。「もうヤメテ〜!」てな心境であります。 ところで、こんな抜けるような青空の下でのレースって久しぶりの様な気がする……。

   <クルマがぁ〜>
     

  レースウイークの移動のことを考えて借りてきたステップワゴン君。この手のクルマは本当に助かりマス。ですが、皆乗り慣れないせいなのかどうかは分かりませんが、 案の定ガリッとやってしまいました。朝、宿泊先のホテルから出ようとしたときにぶつけたそうです。結構な衝撃だったそうです。でも、相手となった柱の塗料が残っていただけで、ワックスで簡単に落ちてしまいました。メデタシ、メデタシ。

  <特上カルビ>

 今回のメシネタは残念ながらその時デジカメが無かったので撮影は出来なかったが情報だけはお知らせしましょう。宿に戻る途中で立ち寄った焼き肉(このジャンル、レース中一度は行くことになる)屋さんの「番」。御殿場・246号国道よりも南側を走る道路に面したお店での事。赤組、白組(これも肉の好みの違いにより自然とテーブルが分かれる)となってオーダーしていき、赤組の番となりカルビを頼もうとしたその時、ナグラッチから「特上カルビ」の声が。「ゲッ、ただでさえ赤組は肩身が狭いのに特上だなんて」と思いつつも、肉が来るのをしばし待つ。で、運ばれてきた「それ」は見事なまでの霜降り状態だった。さっそく味見をするとこれがまさに「とろけるような柔らかさ」で非常に美味しかった。「特上を頼んでくれてありがとう、ナグラッチ」と心で思ってしまいました。


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